howdy groovies

HAPPY TRAILS to you / Howdy Groovies

HAPPY TRAILS to you 完成記録
文:みつはし とおる(G)

【その1】ごあいさつ
たくさんの時間はかかりましたが、ハウディみんなでホントに頑張ってセカンドアルバム「HAPPY TRAILS to You」が完成しました。前作を上回る自信作が出来たと思います。
どうしたら良い音が録れるんだろう、どうしたらみんなが楽しく聞いてくれるかな、と自分たちで試行錯誤しながら録音しました。そんなことをやっていたらあっという間に2年位かかってしまいました。是非多くの方に聞いていただきたいです。
苦労もしましたが、信じられないようなミラクルもたくさんありました。今となっては全て良い思い出です。
色んなことがたくさんあったので、自分の記録のためにも、何回かに分けて書いてみようかなと思います。何話続くか分かりませんが、また書き残してみようと思います。
よろしくお願いいたします!!
【その2】レコーディング開始
2013年の1月にファーストアルバムが完成してからすぐに新曲「ひぐらしぽんた」という曲が出来ました。思えば6年も前のことです。
8トラックの録音マシンとマイクのセットをバンドで買い、スタジオで録音実験を始めました。
いよいよ本格的に「やるぞ!」と始めたのは2017年の春です。ドラムのイクリンの誕生日を挟みつつ、確か3日連続でドラムとベースを中心に録音を開始しました。ドラムの録音は難しくて、反響音を抑えるためにドラムの底面にティッシュペーパーを貼って響きを調整したり、マイクの微妙な位置を調整したり。そんなことも楽しかったです。
ちなみに「クリック」というメトロノームのようなガイドラインは使わずに、自分達の自然なノリ、スピード感で演奏しました。
つづく
【その3】アレンジのこと
いよいよ本番録音!その話の前にアレンジ(編曲)のこともお話しします。僕が曲を作った時点で、ある程度の基本的なイメージはあります。
そこから更にみんなでヒネっていくのが面白かったです。だいたいが、その場の思いつきや、単純な言い間違いを「それ面白いね。ちょっとやってみよう!」と遊び感覚であれやこれやと実験していきました。そんな柔軟な軽さとユーモア?がハウディの面白さのひとつかなぁと僕は思います(笑)
アルバムを聴いていただいて「あれ?このアレンジ面白いな」と思う箇所がありましたら「あぁ、あの4人でおもしろおかしくやってたんだろうな」と想像して笑ってください!
つづく
【その4】リズム隊の録音〜1本の電話
いよいよ本番。録音の話です!
事前に練習をやっているとは言え、もちろん緊張感があります。
ベースとドラムは、なんと、ほとんどの曲で、ほぼワンテイクでイッパツOKでした。凄い集中力だなぁと感心しました。ずっと一緒にやってきたリズム隊はさすがです。
しかし、僕のギターは難航しました(> <)
ギターの音を重ねるため、それぞれのフレーズを練りあげて、そのパートを弾き分ける必要があります。そのギターアレンジは曲全体のイメージにも大きく影響してしまいます。そしていざやってみると、これがまた難しいのです・・。ここでも実験の連続です。
ギターの録音と並行して、よっちゃんのボーカルも録り始めました。全体のイメージを見るための仮り録音の意味と、よっちゃんのウォーミングアップ用です。
そんなこんな苦労をしつつも、少しずつ録音も進み、だんだん形になってきました。ようやく先も見えてきたかなという、ある日のこと、、、メンバーで集まって練習かコーラスの録音か何かをしてたときに、僕のスマホに1本の電話がかかってきました。「あっ!松浦さんからだよ!」
尊敬するギタリスト松浦善博さんからの電話でした。その内容は全然別件の用事でしたが、その話の中で「僕ら、今ちょうどレコーディングしてるところなんですよ」と言いましたら、、、。
つづく
【その5】松浦善博さんのギター録音
尊敬するギタリスト松浦善博さんから掛かってきた1本の電話。そこから話は凄い方向に流れていき、なんとゲストでギターを弾いてくださるという夢のような話へ。僕にとっては一番のヒーローであり、日本におけるスライドギターの神様のような方です。本当に夢のような話です。本当にドキドキです・・・。
そして、どの曲で参加していただくか。その時点で全9曲、ある程度の形にはなっていたので、その音源を聞いていただき「トラベルアゲイン」という曲に決定しました。
そして、いよいよ松浦さんの録音の日。アンプやマイクのセッティングもあっという間に終わり、いざ演奏です。そしてビンテージのギブソンSGとプリンストンリバーブアンプから飛び出てきた音は、、、圧倒的に凄い。音量が特別大きいわけではないのに、ため息がでます。腰がぬけるというよりは、腰が砕けて、ふにゃふにゃ人間になってしまいそうでした。まるで「宇宙!」でした。
演奏も「最高」としか言いようがないです。見事に素晴らしいです。フィードバックの音もさすがです。「このフィードバックは出そうと思っても毎回出るものじゃないから縁起物やー」とおっしゃってくれたのが嬉しかったです。「○○のフレーズもちょっと入れてみたで」というのも涙モノです。僕とのツインギターの掛け合いがあるのですが、急遽その順番を逆にしてみては?という僕の思いつきにも、すぐ対応してくださいました。そして無事、レコーディング終了です。
超最高なスライドギターと、超強力なロックンロールのエネルギーがハウディに注入された瞬間でした。
なんとなく今、僕は淡々と書いていますが、どれほどに凄い時間だったかは言葉では表せません。絶対に最高のものを作らなくては、と強く心に思いました。
その後、ハウディ&松浦さんの食事会のおもしろかったこと、おもしろかったこと。3次会までお付き合いいただきました(ランチも合わせると4次会!)。まさに夢のような、魔法のような時間でした。そして最高にロックンロールな1日でした。
松浦さん、本当にありがとうございました!!!
つづく
【その6】ギターの録音
松浦さんの超強力なスライドギターが注入されたハウディのアルバム。それに見合うクオリティまで上げていかなくてはなりません。
今回は僕のギターのお話しからしようと思います。
「トラベルアゲイン」という曲。これは中間の間奏部分が松浦さんと僕のギターの掛け合いになっています。これは僕にとっては、非常に大変でした。大横綱に立ち向かって対等に勝負するようなものです。本当にやってみて改めて分かりました。すごく悩み、落ち込みました。
僕はこの曲ではストラトキャスターでソロを弾くことが決まっていました。普段あまり弾かないギターなので、うまく音をコントロール出来ません。なんとか頑張って本気で弾き、録音したものを聞いてみると、、なんか全然ダメなのです(泣)まず音圧というかエネルギーが松浦さんのギブソンSGと比較になりません。アンプから出てる音は悪くないのにマイクで録ると、やけに薄っぺらい音になってしまいます。これには参りました。いい音で録れません。お手上げです。
松浦さんに相談したところ、なんとスペシャルなストラトキャスターと素晴らしいスピーカーキャビネットを貸してくださいました。抜群です!!完璧です!世界最高です!!
そしてマイクのセッティングには旧友のM君が手伝いに来てくれました。マイク位置を1センチずらしてみたり、少し斜めにに傾けてみたり、2本のマイクを同時に立ててみたり、アンプを交換してみたり、ここでも、また、ひたすら、ひたすらに実験です。
この松浦さんからお借りしたギターは、他の曲でも使っていいと言っていただいたので、「雨の女」「ひぐらしぽんた」という曲でも使わせていただきました。M君は「うーーん、もうちょっと、ジャキッ、ギュゥイーンと荒っぽさが欲しいな」とか、僕が良い演奏をすると「うひゅー!」という変な叫び声をあげて、たくさん刺激してくれました。「雨の女」と「ひぐらしぽんた」のストラトキャスターを使ったギターはM君がいなければ実現できませんでした。本当に感謝しています。
松浦さんとM君に心から感謝です!
次は渋谷に買い物に行った話を書こうと思います。
【その7】魔法の小箱
前の話しにも重なりますが、もう少しギター録音の話しが続きます。
まだまだ多くの曲でバッキング、ソロ、オブリガードなどがたくさんあります。それを全てバッチリな演奏と良い音質で録音しなくてはいけません。演奏は、その時のベストを尽くすのですが、やはり録音して仮ミックスをしてみるとイメージと違うということが頻発します。さらにはハードディスクのトラブル、、、にも悩まされました(泣)本当にこんなことの繰り返しです…。録音機材はハウディ自前の「そんなに高くない」ものを使っています。
話しは逸れますが、以前、知り合いのレコーディングスタジオで、ひとりで録音の実験をさせてもらったことがあります。
あまり機材のことは分かりませんが250万円くらいの某社のマイクプリアンプ?と某社のビンテージのプリアンプを比較しました。ビンテージ機材の音は桁違い良かったです。250万円の音がオモチャのように聞こえてしまうくらいでした。250万円もするのに!
それに対して僕らハウディが使っているのは、その数十分の1くらいの値段のもの。 
でも音質には妥協したくありません。録音も絶対的に満足なものを作りたいのです。
プロフェッショナルなエンジニアの方であれば経験的に上手くいくレシピで解決してくれるのかもしれませんが、自分達でやっているので、ひたすら実験です。
一番の問題は「いい演奏をしたのに、再生してみると満足のいく音質で録音されていなかったときのガッカリ」です。
そして、またまた、松浦さんに相談させていただきました。(本当に何度も申し訳ありません!!)
すると、、、な、な、なんと、画期的な方法を教えていただきました!
こ・こ・これは、凄い(≧∀≦)
「世界中の中で、まさに僕のために開発されたのではないか!」というくらいの魔法のような方法です。
「夢の録音しすてむ〜〜」というドラえもんの声が聞こえてきそうです。
それには「ある道具」が必要になるのですが、金額も全然高くないそうです!ダッシュで渋谷の楽器店に「その道具」を買いに行きました。そして「魔法の小箱」を無事ゲット。これで悩みが全て解決出来そうです!!
人生バラ色です!それは、その後のギター録音には欠かせないものになりました。本当に素晴らしいシステムです。あのとき松浦さんに教えてもらっていなかったら、未だにアルバムは完成していなかったと思います。
そして、その道具を買いに行った日、渋谷で運命的な出会いがありました。
つづく
【その8】SGとの出会い
前回の続きです。録音に必要な機材を買いに行った渋谷の楽器店で、ふと見ると、古いギブソンSGが売っているではありませんか。修理歴があるとのことで、普通の相場よりもかなり安く、しかも「タイムセール」とやらで更に安くなってる。(タイムセールとか半額シールとか大好き人間です)
なんとなく気になって、そのSGを弾かせてもらったら、持った瞬間に「あっ、これはヤバいギターだ! 」
ギターとの出会いは、人との出会いのように運命的に感じることがあります。ホントにそう思います。僕が持っているギターはどれも、そんな「出会い」があって僕のところに来ています。 その1963年製ギブソンSGは、ボロい部分もありますが「運命の赤い糸」で結ばれているように感じてしまったので、数日後には目出たく僕の手元にやってくることになりました。 そうして、渋谷で「魔法の小箱」と「ギブソンSG」を手に入れた僕はまたレコーディングに戻ります。
「ひぐらしぽんた」のエンディングのスライドギターは、元々はレスポールを使って録音も終わっていましたが、このSGで弾いたらどんなかなと、なんとなく試しに録音してみました。この録音の瞬間のことは本当によく覚えています。とても不思議な感覚でした。僕自身も物凄い集中力を発揮。横で聞いていたよっちゃんも「今のなんだか凄かったねぇ…」と言っていました。マイクや機材のセッティングも奇跡的によいバランスで録れていて、そのテイクを採用することにしました。あの時のことは、ものすごく印象深い出来事でした。こうゆうまぐれ当たりみたいなのが常に起こるといいのですが(^^;
結局、録音が終わっていた他の曲でも改めてSGで弾き直したりしました。
この1963年のSGはもちろん今でも大好きなギターです。
アルバムの中で、僕は曲の場面によって色々なギターを弾き分けています。
お借りしたものなども含みますが、使ったのを書き出してみると・・・
Gibson Les Paul 1968
Gibson Les Paul 1971
Gibson Les Paul 2007
Gibson SG 1963
Epiphone Wilshire 1964
Fender Stratocaster 1966
Fender Stratocaster 1969
Nash Stratocaster 2007
メーカー不明の Stratocaster 1970's
Fender Japan Telecaster 1988
Alembic Distillate 1981
Gretsch 6120 2007
Guild D50 1978
あとはバンジョーとウクレレも弾きました。古いフェンダーの12弦ギターも弾きましたが、そのテイクは結局使いませんでした。
こんなにたくさんのギターを使ったんだと改めて自分でもびっくりしました。どれも、それぞれに特徴、個性のあるギターなので「替え」がききません。それぞれに素晴らしいギターです。
次は、いよいよボーカルの録音の話しに移りましょう。
つづく
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